パーソナルブランディングに必要な長期的視点と短期的視点③
経営者として理想や夢を実現するために必要な「長期的視点」と「短期的視点」について、1回目では「パーソナルブランド構築は一朝一夕ではできない。日々の行動によってつくられるものでもある」という点をお伝えしました。2回目では、「利益とは付加価値であり、顧客からの評価である」また「長期的な利益も短期的な利益も必要」ということについて見てきました。
経営者にとって必要であると繰り返し書いてきましたが、実は「長期的視点」と「短期的視点」を併せ持つということは、経営に限らず、サラリーマンにとっても、学生にとっても、専業主婦にとっても有益なことです。今回は少し視野を広げて、考えていきましょう。
長期的視点と短期的視点、どっちが先?
現代は未来予測ができない時代とよく言われます。先のことはわからないから、長期的な計画を立てても意味をなさない、それよりは短期・中期の目標を立てた方が賢明であるという考え方も見かけます。
未来予測ができないという点は現実問題として、ある意味正しいでしょう。
今、世界中がものすごいスピードで大規模な変化を遂げています。
しかし、だからこそ余計に、「まず長期的な視点を持ち、そこから短期的な視点で落とし込んでいく」という順序が大切になります。前回のコラムで触れた通り、短期的な「今の自分」「今できること」をベースに長期的な計画を組み立てていては、世の中のスピードについていけなくなることは必然だからです。
そこで役に立つのが「俯瞰逆算思考」です。
俯瞰逆算思考とは?
俯瞰逆算思考は、未来のゴールを見据えて、そこから逆算して現在に落とし込むという考え方のことです。もっと具体的に言うと、今の実力やスキルでは絶対に無理なゴールを長期的なゴールとして掲げ、それを何年で達成したいか考え、各年・各月の目標、そこから日々のタスクに落とし込んでいきます。
長期的なゴールから考え始めることはなぜ有益なのでしょうか?「今」の自分に無理なことを成し遂げるためには、必ずイノベーションやアイデア、成長が必要になるからです。それらを生み出し、身につけていくことで、他者に脅かされない「選ばれる人」に成長できます。
逆に短期的な視点で論理的に無理なくできる範囲のことを積み上げるだけであれば、イノベーションもアイデアも、成長も必要ありません。そして、それらを必要としないということは、「周りがすぐにでも追い抜ける」ということであり、「いくらでも代わりがいる」「いつでもスイッチ可能」ということになります。前回のお話でいうところの「利益」を生み出し続ける価値がないのです。
さらに、「日々のタスクに落とし込む」という点も大切でしょう。大きな夢を思い描くことはいいことなのですが、それが「きょうの行動」「いまこの瞬間の行動」と繋がっていなければ、糸の切れた凧のようなものです。理想の未来をコントロールすることもできませんし、手元に手繰り寄せることさえもできません。
たとえば今から送るメール一通、電話一本、挨拶ひとつとっても、あなたの長期的なゴールに繋がっていなければなりません。
長期的な夢なんてないという人へ
冒頭で、「長期的視点」と「短期的視点」は経営者に限らないということをお伝えしました。「夢なんてよくわからない」「そんな大層な志なんてない」という方にも、ぜひ一度考えてみてほしいことがあるのです。
今まで考えてきた「長期的視点」というのは、何も崇高で立派な志に限った話ではないのです。「夢」「理念」「志」というとたじろいでしまう方でも、「今すぐには満たせない欲望」というのはあると思います。
身近に捉えていただけるような例を挙げると、「こんなマイホームが欲しい」というような純粋な理想はもちろんのこと、「40代になったら仕事に行かずに家でぐうたら過ごしたい」「50歳になっても20代の女の子たちにモテたい!」という欲望でもいいわけです。そうして考えてみると、「実現できるかはともかくとして、こうだったらいいのになぁ」という思いは、誰しもきっとひとつくらいはあるでしょう。
そして、それを、実現してほしいのです。無理なことと諦める前に、「もしできるとしたら、どんな手がある?」「何から手をつけ始めたらいい?」と軽い気持ちで想像してみるのです。こうして考えてみると、「長期的視点」「短期的視点」とは重苦しいプレッシャーというよりは、どちらかというと夢とロマンにあふれた楽しいものだということを感じていただけるのではないでしょうか。
そして、大切なのは、それを実現することができるのは「自分自身」言い換えると「他人ではなく自分にしかできない特権」であるということです。最後に、いつも私が動けなくなった時に背中を押してくれるエピソードの一つをご紹介したいと思います。
取り残されたエビの話 ~オリソン・スウェット・マルデン博士~
潮高い岩場に、一匹のエビが取り残されている。
海に戻れ!という本能にささやきもなく、そうする気力もなく、ただじっと待っている。海が戻ってきてくれるのを。
もし、戻ってこなければ・・・?
エビはじっとその場所にいるだけだ。そしていずれ死んでしまう。
もしかしたら、ほんのちょっとがんばれば、海辺までたどりつけるかもしれないのに。海は一メートル足らずのところまで来ているかもしれないのに。
あちらを見てもこちらを見ても、世の中にはそんなエビのような人がいっぱいいる。「決められない」「始められない」と岩場に取り残されている人たちが。
頑張ってみる代わりに、思わぬ幸運の大波が押し寄せてきて、
連れ戻してくれたらいいのに、とただじっと待っているのだ。
今回のワーク
●あなたの長期的に達成したい夢や志、欲望を洗い出してみましょう。
●俯瞰逆算思考で、日々のタスクに落とし込んでみましょう。
この記事の提供者
Busico.パートナー
株式会社ファーストブランド(https://www.firstbrand.co.jp/)
代表取締役社長 河本扶美子様
提供サービス:まちの専門家を探せるWEBガイド マイベストプロ(https://mbp-japan.com/)