パーソナルブランディングに必要な長期的視点と短期的視点①
今回からは、経営者として(もしくは会社で働く立場であったとしても)理想や夢を実現するために必要な「長期的視点」と「短期的視点」について解説していきます。
パーソナルブランディングはどうして必要?
過去のコラムを読んで、こう思われた方はいらっしゃらないでしょうか?
「パーソナルブランディングをした方が良いことはわかったけれど、今すぐ作らなきゃだめというわけでもないのでは?」そこで、いま一度「パーソナルブランド」をつくる意義についておさらいしてみましょう。
パーソナルブランディングとは、他社にはない「あなた独自の強み」で選んでくれるファンを作ることであり、顧客獲得に苦戦するのは「あなたでなければならない理由」がないからでした。また、独自の強みとは、業界や職能を限定する能力でも、ツールを使いこなすスキルでもなく、あなた自身の根っこのところにある本質的な強みのことでした。
それでは、もし今、顧客獲得に関して不安もなく苦戦もしていないならば、パーソナルブランディングに着手しなくてもいいのか?というと、実はそうではありません。
以前少し触れた通り、世の中はグローバル化が進んでいます。あなたの属する業界自体が一見グローバル化にはまったく関係ないものだとしても、その顧客のお財布・予算がグローバル化のあおりを受けて縮小したり、顧客側の戦略が変わって別のところに予算を割くようになった場合、仕事が減っていく可能性はゼロではありません。
また当然のことながら、グローバル化の影響がある業界にいる場合は「パーソナルブランド」がない状態で仕事をしていると、安く買いたたかれるか、世界中のライバルに取って代わられてしまうでしょう。
パーソナルブランディングは、決して一朝一夕でできるものではありません。なぜなら「ブランドイメージは相手の頭の中にあるもの」であり、私たちが思い通りにコントロールすることはできないためです。「私のパーソナルブランドはこうです!」と自分勝手に理想像を定義しても、相手には伝わらないですし、本当の意味でのブランドイメージを作るのは、理想を定義した後の「日々の仕事の積み重ね」「日々の情報発信の積み重ね」でしかありません。
仕事がなくなってしまってから始めても、顧客があなたを選ぶ理由やあなたの独自の強みが形になるには時間がかかります。いえ、むしろ、「仕事がなくなった」という事実のせいで、あなたの強みや魅力はよりいっそう伝わりにくくなるでしょう。
そうして、あなたを選ぶ理由が顧客にきちんと伝わる前に、日銭が尽きて会社をたたまなければならなくなったり、あわてて強みを取りつくろって本当のあなたの強みと食い違ったものになり、経営の方向性がぶれてしまう危険性があります。
経営者に必要な「長期的視点」と「短期的視点」
とはいえ、「そうは言っても今は別のことを優先しなければ」という思いの方もまだまだ多くいらっしゃることと思います。おそらく「今でなくてもいいのでは?」という思いの裏側には、日々の業務で精いっぱいになっている現状があるのではないでしょうか。
しかし、ここで大切にしていただきたいと思うのは、経営者に欠かせない「長期的視点」と「短期的視点」を併せ持つということです。どちらか一方ではなく、常に両方を持ち続けることが重要です。
ご自身で何か事業を立ち上げた方なら、大なり小なり「自分の理想」というものをお持ちだと思います。「こんな社会にしたい」「世の中にこうやって貢献したい」という大きな夢から、「お客様の喜ぶ顔を直接見たい」「自分の力で稼ぎたい」という身近な夢まで、様々あることでしょう。
そうした夢は思い描いているだけで実現することはありません。実現したいことを目指したロードマップを引き、それをフェーズに分け、どんどん細かくしていって日々の業務に落とし込んでいく必要があります。
一方で、いつか実現したいことだけを考えて日々の業務をおろそかにしていては、あなた自身があなたのブランドを裏切っていることになります。いつか実現したい夢に共感してくれている顧客に、あなたが提供すべきサービスや商品を提供できなければ、何のためのブランドでしょう。
未来は今現在の積み重ねでしかありません。日々の行動が未来の自分を作ります。そして、未来のイメージがあるからこそ、日々の行動をぶれずに積み上げることができます。それは、夢や理想だけでなく、パーソナルブランディング、あなた独自の強みについても同じことが言えるのです。
さて、この「長期的視点」と「短期的視点」を併せ持つという点はそうした無形の部分だけでなく、「利益」を考える上でも重要です。次回は「利益」の意味と、2つの視点からどうとらえるべきかについてお話したいと思います。
今回のワーク
●あなたの事業に関して、外部要因・環境要因によるリスクをリストアップしておきましょう。
●あなたの事業に関して、内部要因によるリスクをリストアップしておきましょう。
●あなたが長期的に成し遂げたいことを思い付く限り書き出してみましょう。
この記事の提供者
Busico.パートナー
株式会社ファーストブランド(https://www.firstbrand.co.jp/)
代表取締役社長 河本扶美子様
提供サービス:まちの専門家を探せるWEBガイド マイベストプロ(https://mbp-japan.com/)