長期的視点とビジネスに必要な「勇気」
経営者は日々、決断を迫られます。そしてそんな時、一歩踏み出す「勇気」が必要になります。実は私の大きなテーマであり、いつも心掛けていることの一つでもあるのが「経営は勇気。ビジネスは勇気」なのです。そこで今回は、前回までお伝えした「長期的視点」と「短期的視点」の番外編として、「勇気」をテーマにお話ししたいと思います。
起業してから思い知った「ビジネスは勇気」ということ
まずは、私自身について少しお話しさせて頂きますね。
私はもともと銀行員、外資系航空会社での客室乗務員を経て起業しました。こう書くと、華々しいキャリアを積んで、いかにもサクセスストーリーというように思われがちなのですが、実際のところは念願の起業をしたものの失敗続き、うまくいかないことだらけで、自信喪失の毎日でした。
会社経営をしていると、本当に多くの課題にぶつかります。売上や利益のこと、会社としての規律やルールのこと、仲間たちのこと、企業理念をどうやって浸透させ、行動に落とし込んでお客様に届けるかということ。人に裏切られたことも、人の期待を裏切ってしまったこともありました。そして、何よりも辛かったのは、会社がうまくいかなくなった時に、別れなければならない仲間がいたことでした。
なぜ、そんなことが起こったのか。
それは、私に傷つく「勇気」がなかったからなのだと思っています。「あの時、ああしていれば」「もっとこう伝えていれば」…そんなふうに、後になってみて思い浮かぶ後悔の思いは、すべて「勇気」のなさで行動に移せていなかったのです。
勇気が出ないからこそ、未来を想像する
正しいと思ったことを貫いたり、信じている理念を発信し続けることは、自分以外の相手あってのものですから、反発や反論は当たり前です。そして、とても傷つきます。いろんなことに果敢にチャレンジしていると「勇気がある」と思われたり、「あなたのように勇気ある挑戦はできない」と言われることもあります。でも、実際の私は勇気を持っているというより「自分を追い込んで奮い立たせている」というのがリアルな姿です。
その時にどうやって奮い立たせているかと言うと、答えは「長期的な視点」を持つことです。ポジティブな夢というよりは、どちらかといえば、「今動かなければ、結果的に望んでいない未来になってしまう。そして自分自身が描いたビジョンや夢は本当にただの夢で終わってしまう。だから勇気を持って一歩を踏み出そう」と考えるようにしています。
長期的視点で考えることで、勇気も持てるし行動もできる
勇気を出さなくても、あるいは行動を一切起こさなくても、自分自身が思い描く未来を実現できて、望まない未来を遠ざけられるのであれば、無理をする必要はありません。しかし、「長い目で見たら自分の理想通りにならない」のであれば、それを避けるのは今、この瞬間、勇気を持って決断すること。行動することにかかっています。そう、行動するのは「今」なのです。何故なら、時は止まってくれないからです。
そうした意味で、長期的視点で考えることは、勇気を奮い立たせるためにはとてもいい思考法だと思っています。何しろ、望まない未来を迎えないためには、選択の余地はないのですから。
勇気を持つこと、行動することを「目的」にしない
勇気を持って行動するうえで、もうひとつ大切なのは、目的と手段を見失わないということです。あくまでも目的は「自分の理想の未来を実現すること」「望んでいない未来を避けること」であり、勇気や行動は手段でしかありません。「勇気を持とう!」「行動しよう!」と考えてしまうと億劫になりますが、「こんな夢や欲望をかなえたい!」「こんな未来は嫌だ!」という気持ちに焦点を当ててみましょう。
人は行動をするのに「動機」を必要とします。また、「行動」はモチベーションを引き出します。動機があれば行動でき、行動すればモチベーションが付いてくるというわけです。まずは目的を長期的な視点でとらえてみることが、後悔しないコツだと考えています。
今回のワーク
●あなたが後悔したくないことは何ですか?
●後悔しないために、どんなことに気をつけたいですか?
この記事の提供者
Busico.パートナー
株式会社ファーストブランド(https://www.firstbrand.co.jp/)
代表取締役社長 河本扶美子様
提供サービス:まちの専門家を探せるWEBガイド マイベストプロ(https://mbp-japan.com/)